この物語は、「意外性」をごく自然に行ってきた岩井コスモ証券の「改革の歴史」を紐解くものですが、物語におけるメッセージの体現者であり、主役ともいうべき中心人物は沖津嘉昭社長(高11回)です。
沖津社長は、昭和34年に天商を卒業され、岸和田生まれの地場証券を西日本最大の証券会社へ発展させた方で、私たち第2校歌世代からすると雲の上の方のおひとりです。
本を開くと、沖津社長が優れた洞察力の持ち主でいらっしゃることを随所に感じます。平成2年3月に行われた日米首脳会議のニュースから「つくられたバブル崩壊により、かなりひどく長い不況がくる」ことを感じたこと然り、平成7年に内閣主導の規制緩和推進計画の抜粋を手にした際、「自由化の波が危機としてやってくると同時に、岩井証券が大きく変身するチャンスである」ことを感じたこと然り、2008年夏「証券業界の進化による収益の増大を伴わないコスト増(証券業界を襲う魔物説)」がやってくることを感じたこと然りかと思います。
この本には、マイナンバー導入後の日本がどうなるのか?鋭い視点で記されています。私たちは、沖津社長の洞察力に遠く及びませんが、せめて自分の周囲の人々の動きや考えなどにも気を配り、自分自身がなすべきことを的確に見極めて行動を起こせるようになりたくなりました。
実は、沖津社長が天商経済人クラブにて話をされた内容の一部が、この本でも取り上げられています。
そこには、現状に安住せず、昨日と違う自分、今日と違う明日の自分を、日々作り上げていく生き方がありました。
自分の軸足のあり方を考え直すキッカケとなったこの本、まだ、お手にされていない方には是非お薦めしたい一冊です。
廣瀬和貴(高39回)、塩尻隆夫(高41回)、松本和子(高51回)